
はじめまして、僕、リキと言いまつ。
お稲荷さんみたいな形の顔と色が特徴でつ。
家族はみな一様に、
「リキを見ると、お稲荷さんが食べたくなる」
と言います。僕の顔を逆さまにしたら、お稲荷さんみたいな形になるのだそうでつ。
ピカピカに光り輝くお稲荷さんのような黄褐色のつやつやの毛並みが自慢でつ。

さて、この度は、僕がなぜ、福力舎で働くことになったのか、
みなさまにまずはその経緯をご説明したいと思いますでつ。
リキの生い立ち
僕は多摩の辺りを放浪していたところを保健所の人に捕獲されて、
あと数日で殺処分になるところでした。
割にハンサムシーバだったことから、保健所の檻の中でうろちょろしている僕を見た
保護犬ボランティアの会の会長に見染められて、引き取られることになりましたんでつ。
今の社長のお宅には、殺処分から一時的に逃れるための『一時預かり』という形で
保護されましたんでつな。つまり、その時は僕は“仮採用”だったわけでつ、ハイ。
ある日の夕飯時に社長夫人が
僕の今後について話し合いをしようと、真剣な顔で社長に話しかけました。
「リキの里親さんを募集するには躾ができていないから、きちんとトレーニングをした方が良い」

夫人は断固として里親に出す、という姿勢を崩しません。
が、その時、
ビールを飲み始めてほろ酔いだった社長は
「リキを里親に出す」という夫人の言葉に
大きく反応し、勢いついて、
「リキはうちの子だ。うちの子にする!!!!」
と宣言したのでつ。
そのことがきっかけで、僕は晴れて正式に福力舎に本採用されることになったんでつな。
サラリーマン「リキ」の誕生

福力舎の社員になってからというもの、
苦難の連続だったと社長は嘆きます。
- コミュニケーションが取れない
- 先に採用された黒柴犬の福ちゃんの邪魔をする
- 怒らせては喧嘩する
- 日常業務である巡回警備ができない
- 他の社員と足並みを揃えず単独行動をする
- 非協力的…欠点を挙げたらキリがない
とまで言われ、僕は自暴自棄に陥り、
あるとき
福力舎を脱走したでつよ。
泣きながら飛び出したでつ。
結果、流血事件を起こしました。隣の大家さんの手にケガを負わせてしまったのでつ。
しかしながら、その大家さんが優しい人で何もなかったことにしてくれたんでつ…ごめんなさい。
そんなこんなで2回の殺処分を逃れて、僕は福力舎の社員として、
またもや生き延びることができたんでつ。
ありがたいことでつな。
リキの社員研修
そんな暴れん坊だった僕は、その事件をきっかけに反省し、
横浜市にあるホメホメホームのゆか先生のご指導の下、
一般的な社会生活を送るための社員研修に通うことになりました。
週2回、2時間の距離を社長が送り迎えまでしてくれて、
おかげで今ではとても良い社員になったと褒められるようになりましたでつよ。

そんなこんなで、先住犬の福ちゃんを追い抜いての出世となり、
晴れてこの度、副社長に就任することになりました。
福力舎 副社長のリキでつ。
どうぞよろしくお願い申し上げます、でつ!!


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